
認知症とは
認知症の原因となる疾患のうち人数が多いのは
1.アルツハイマー型認知症(認知症全体の約50%)
2.レビー小体型認知症(約20%)
3.血管性認知症
です。認知症の原因となる疾患が同時に複数存在することもあります。

アルツハイマー型認知症 | 初期にはもの忘れが現れ、徐々に進むのが特徴です。 昔の記憶はよく残っていますが、最近のことは覚えていることができません。 アルツハイマー型認知症では、認知症の症状として必ずみられる中核症状(※1)と みられるとは限らない周辺症状が現れます。 (※1)もの忘れなどの記憶障害、判断力の低下、見当識障害 (けんとうしきしょうがい:いまいつなのか、どこにいるのかがわからなくなる状態)がある。 ヒントを与えても物の名前や人の名前が出なくなる。目標に対してプランを立てたり、 スケジュールを立てたりすることが出来なくなる。< /br> 家事や仕事の段取りが上手く出来なくなるのが最初の徴候。< /br> 例えば、お皿をうまく片づけられない、調理の手順を間違える、 冷蔵庫の管理が出来なくなる(空っぽになったり、逆に、同じ物を重複して買ってきたり)、 着物をうまくたためない、字が下手になった、捜し物が多くなる、ガス栓などの閉め忘れ、 飲み薬の管理が出来ない、身だしなみがだらしなくなり、おしゃれをしなくなった、 風呂に入らなくても平気、駅で切符が買えない、いつもの道を間違える、 同じことを何度も言ったり聞いたりする、置き忘れやしまい忘れが目立つ等々の症状が見られる。 ・妄想(財布や通帳をとられたなどの特にもの盗られ妄想)が現れる。 ・強い不安を訴えるようになる。 ・無目的に屋外に出て歩き回ったりする。 ・攻撃的な行動や介護への抵抗などもみられる(攻撃的・介護へ抵抗)。 ・短気になり些細なことでもすぐに怒るようになる(攻撃的)。 ・好きだったことに興味を失い、今まで行っていた日課をしなくなる。 ・あちこち身体の不調を訴えることがある。 |
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レビー小体型認知症 | ・初期には物忘れとともに、具体性のある幻視 (実際にはその場にいない人、子供、虫や動物がみえるなど) 妄想、うつのような症状が見られる。 ・気分がふさぎがちになる、意欲がわかないなどのうつ症状がみられる。 ・日や時間帯によって、頭がはっきりしている状態とぼーっとしている状態 が入れ替わり起こることがある(意識の清明さの変動)。 ・手足や筋肉のこわばり、動きの鈍さ、小股歩行(ちょこちょこ歩き)、 無表情などの身体症状をきたす(パーキンソン症状)。 ・睡眠時に大声で寝言を言ったり、寝床で手足をバタバタさせる異常行動が 見られることがある。 ・立ちくらみや失神、尿失禁や頑固な便秘などの自律神経失調症が 見られたりすることもある。 |
脳血管性認知症 | ・注力の低下よりも意欲の低下が目立つ場合が多い。
・急に泣いたり怒ったり、感情の起伏が激しくなる。
・ダメージを受けた脳の血管の場所によって、脳の中のある場所の働きは 悪くなるがその他の場所の機能は比較的保たれていることが多い。 |
認知症の症状
認知症の症状は様々ですが、以下のような症状に大きく分けられます。
これらの症状の出方は、現在の生活環境、過去の生活歴、性格等によって一人一人個人差があり、認知症の症状のレベルによっても違いがあります。

健忘 | 物忘れがひどくなる |
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見当識障害 | 日時、場所、人がわからなくなる |
思考障害 | 考える力、理解する力が低下する。計算ができなくなる |
認知障害 | 物事を見分け判断する力が低下する。人違いをする |

夜間せん妄 | 夜になると興奮し言動がおかしくなる |
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不眠 | 夜眠らない |
幻覚 | あるはずのないものが見えたり聞こえたりする |
妄想 | ありえないことを固く信じ込む |
抑うつ | 気分が落ち込む |

徘徊 | 歩き回る |
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不眠 | 夜眠らない |
暴力 | ささいなことで怒りだして暴力をふるう |
異食 | 食べられない物を口に入れてしまう |
弄便 | 便をいじる |

食事、排泄、入浴、着替えなど、日々暮らすための基本的な動作ができなくなる。 |

歩行障害 | 上手く歩けない、歩き方が分からなくなる |
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嚥下障害 | 食べ物の飲み込みが悪くなったり、むせたりする |
膀胱直腸障害 | 尿や便が出にくかったり、失禁したりする |
認知症の治療
認知症と診断された後、薬物治療を開始致しますが、その進行は止めることは出来ません。
しかし早期から薬を用いることで進行を緩やかにすることができます。
また環境を改善し、適切な介護・ケアを受けることで、表情が良くなったり、
気持ちが落ち着いたり、意欲が見られるようにもなります。
よい状態を出来るだけ長く維持するために、良い環境のもと、
薬による治療を続けていくことが大切です。
周辺症状(特に心の症状)に対しては、ある程度薬物療法が期待でき、介護の仕方によって症状改善の可能性があります。ご相談ください。
当院では定期的に認知症の検査を行い、進行度や療法の効果測定を行なっています。